プレスリリースが歴史的な分岐点かも、と感じるアメリカの3事例

Pocket

この10年間、「プレスリリースは消滅する」という批評を度々目にしてきました。この論調は誇張されていると感じる一方で、まったく根拠がないわけではありません。実際に、プレスリリースは代替案によって影が薄れているという一面があります。

Googleは2010年、「サイトへの攻撃や検閲を理由に、中国の撤退を示唆する」重要な発表をプレスリリースではなくブログで公表し、アメリカだけでなく日本の主要なメディアでも数多く報じられました。

Googleのみがこのような戦略に傾いているわけではありません。Dellは常に情報をブログで伝えていますし、ネットフリックスが何かを伝える際には、一人称の視点で書かれた記事をブログに投稿して、従来のプレスリリースを補っています。

サウスウェスト航空は、「来年以降に投入するボーイング737-800型の到着」をプレスリリースに加えて、ケーブルテレビチャンネルのHBOさながらの動画をブログで公開しました。

このような変化は、企業のコミュニケーションの新たな時代の到来を感じさせます。今や企業が発する情報は、メディアが記事を書きやすいテンプレートではなく、生活者に分かりやすい表現で届ける必要があるのかもしれません。

そして、勇気付けさせられるのは、このような傾向はグローバル企業に限った話ではありません。その証拠として、大企業からベンチャー企業まで3社の事例を紹介します。

1. パタゴニア

パタゴニアのコーポレートサイトには、お決まりのあるモノがありません。サイトを隅々まで探しても、プレスリリースが見当たりません。プレスリリースのアーカイブを掲載する代わりに、メディア関係者にFacebookの非公開グループ「Patagonia PR」への参加するよう勧めています。パタゴニアはメディア関係者にはFacebookグループで、生活者にはブログ「The Cleanest Line」で情報提供しています。

生活者がパタゴニアのプレスリリースを読むためには、パタゴニアが利用してるプレスリリース配信サービス「PR Newswire」もしくはPR Newswireの転載サイトを閲覧するしかありません。

2. イノセント・ドリンク

1999年設立のイギリスのスムージーメーカー、イノセント・ドリンク。創業10年で売上高156億円(1.28億ポンド)、イギリスとのスムージー市場の75%のシェアを獲得するまでに成長しています。そんなイノセント・ドリンクが、今年始めに新しいジュースブレンドを発表する際、プレスリリースブログのそれぞれで発表したのですが、2つのバージョンの違いは顕著でした。

プレスリリースのリード文「このジュースがこれほど人気であり続けていることを嬉しく思い、キッチンに戻り、美味しいジュースブレンドを作りました。今まで同様、皆様に楽しんでいただけるものであると思います。」

ブログのリード文「あなたが行くのがまだらになった果樹園なのか砂漠の島なのかによって、美味しいアップル&ラズベリーなのかパーフェクトな美味しさのトロピカル (ごめんね) なのかを選択することができます。」

プレスリリースとブログの違いはリード文だけではありません。プレスリリースではPDFファイルでダウンロードできますが、FacebookやTwitterなどで共有するためのボタンがありません。一方で、ブログでは、最も興味を引いたコメントした人に、この新商品をプレゼントすると発表し、この記事に500を超えるコメントが殺到しました。

3. ServInt

ホスティングサービスのServIntがFlexブランドから新しいサーバーを発表する際、プレスリリースはお決まりの方法で、「世界中の企業にマネージドホスティングプロバイダーのパイオニアであるServIntは本日、Flexブランドで、完全に管理できる専用サーバーの新しいラインナップを導入しました。」と発表しました。

一方、ブログでは、まずセールスディレクターがプレスリリースの配信日に、サーバーの性能とオプションの多様性をアピールする記事を投稿しました。その1週間後に、マーケティング担当バイスプレジデントが会社における新サービスの位置付けについて詳しく語り、さらにその2日後に、COOが業界全体に与える影響と今後の展開について持論を展開しました

プレスリリースだけではセールス、マーケティング、経営層と多方面の見解をすべて網羅することは実現しづらいが、ブログなら簡単にできます。

この一連のブログの投稿で、経営層より、セールスやマーケティングの前線で奮闘する社員が書いた記事の方が盛り上がってる点は興味深いですね。

Pocket

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>