それでも新聞を購読する理由

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来週末、YOMIURI ONLINEの神崎公一前編集長をお迎えしてセミナーを開催いたします。新聞社の編集部の視点で、新聞紙面とニュースサイトの相違点を事例を交えながら解説いただく予定です。お申込みはコチラです。

日本経済新聞に続き、朝日新聞も有料電子版を開始しました。新聞社は、新聞と無料ニュースサイト、そして有料電子版と、今後も試行錯誤を重ねることでしょう。新聞社のニュースサイトが「新聞の焼き回し」だった時代は疾の昔に終わり、ぞれぞれ目的や役割に応じて編集方針が大きく異なるように感じます。この編集方針の違いを知ることは、企業のPRにも役立つものと考えています。

新聞の減少と、ニュースサイトのPVの増加

今から15年前に證券会社へ入社以来、ほぼ毎日、新聞を読んでいます。日曜祝日はもちろん、旅行先でも、この習慣から抜け出せません。しかし、私のように新聞購読が習慣化している人が減少しているようです。

2010年の新聞の発行部数はついに5,000万部割れとなり、10年前と比較して8.2%減少しています。この原因のひとつは、若年層が新聞を読まないこと。M1・F1 総研の調査結果によると、若年層ほど新聞の購読は減少傾向にあります。 M1層(20~34歳男性)が新聞を読まない理由は、「料金がかかるから(62.6%)」が1位、「読むのに時間がかかるから(37.9%)」、「他のメディアから得られる情報で足りているから(24.5%)」と続きます。無料で十分に足りうる情報を、わざわざお金を払うことに疑問を感じています。

彼らは新聞を購読しませんが、新聞社の編集部がつくる記事を読まなくなった訳ではありません。彼らの主な無料の情報源であるポータルサイトやSNSのニュースは、新聞社の記事が柱であり骨格です。

事実、ポータルサイトは各ニュースサイトから記事を仕入れていますが、その多くを無料で仕入れていると言われています。トラフィックバーターと言い、お金の代わりに記事のリンクを貼って、ユーザーを誘導してPVでお返しするというものです。しかし、新聞社は別格だと聞きます。

「マスゴミ」なんて言葉を使ってマスメディアへの批判を、ソーシャルネットワークで最近目にしますが、生活者にとって、新聞社への信頼性の高さは、健在だと感じています。東日本大震災直後、Yahoo! Japanや新聞各社のサイトのページビュー(PV)は大幅に過去最高を更新しました。

各新聞社サイトのトラフィック推移(2010年12月から2011年3月)

各新聞社サイトのトラフィック推移(2010年12月から2011年3月)

生活者は、有事の発生を契機に、即時性信頼性を優先して新聞社のニュースサイトを選択したと解釈できます。新聞社がつくる記事を有用だけど、有料購読には踏み切らない。そんな生活者の姿が垣間見えます。

私がわざわざ新聞を読む理由

実は、ニュースはかなり昔から無料でした。その時間にテレビをつければ、朝刊が届く前に、映像と音声そして文字でニュースを見れます。その昔、テレビの普及率が上昇しても、新聞は発行部数を伸ばし続けましたが、今回のインターネットの普及はだいぶ様相が異なる印象です。(視聴読者をテレビと新聞で奪い合ったとしても、グループ経営としては問題ないという面も。)

私は、ニュースを読むだけなら、ポータルサイトやニュースサイトで十分に足りると感じています。それでも、私は今後も新聞を購読し続けると思います。ニュースサイトで記事を読む・読まないを決めるクリックの主導権はユーザーにあります。私がニュースサイトを眺めると、どうしても自分の短絡的な興味に導かれるままに、ニュースを選び進めてしまいます。能動的だからこそ楽しいけど、自分の興味で選ぶがゆえに得られる情報の幅が固定化されます。

一方で、新聞の読者は受動的にならざるを得ません。記事から関連記事へ飛ぶことも、検索することもできません。

紙面を読み飛ばしてもザックリと世の中を眺めることができますし、面数、見出しの大小、記事の文字数から、事の重大性やおススメ度も知ることができます。さらに、新聞の論調の変化へツッコミを入れたり、論説委員の解説へ反対したりすることで、自分の情報処理能力が鍛えられてきたと感じています。新聞が設定したアジェンダに対して自分の意見を持つことは、情報に翻弄されない第一歩のような気がします。

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